ハム用短波受信機の周波数表示方式を考察する。
| 短波受信機で受信中の信号の周波数を知りたい は昔から誰しもの願望でした。 ダイアルに大まかでもいいから目盛りを記す、周波数が既知の短波放送局とマーカー発生器から推察する、ヘテロダイン周波数計で局発信号を測定する等の超アナログ的な方式から 現在では周波数カウンターを使って局発周波数を測定して受信しているだろう局の周波数を知るとかシンセサイザー方式で局発周波数を直接間接的に作って制御する方法とかがありますが。 ここでは一部のハム用機器 主として八重洲無線の短波帯ハム用機器の周波数表示方式について記述し合わせて他のメーカー(トリオ)の機種と比較してみます。調べて或いは比較してどうする訳でもありませんが知る事が大事だと勝手な屁理屈です。 調べた機器は八重洲のFT-101Zシリーズの新旧のカウンターとトリオのTS-820だけです。 前期型のFT-901についても記述。 八重洲の新旧のカウンターは前期型と後期型のカウンターでは明らかに使用している素子と回路が全く異なっているからです。 又トリオのTS-820では八重洲の前期型とよく似ていますが少し違う箇所があります。使っている素子が違うと言う訳ではありません。 更にFT-ONEの様にシンセサイザー方式では周波数設定という方式であって周波数を測定する概念はありません。 |
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超アナログ的な方法で受信周波数を知る昔の方法。 ヘテロダイン周波数計が典型的な手法で 有名なJRCの機器を電波管理局なんかで使って無線設備の検査に使っていましたね。 左の画像の物は米軍の機器ですが この機器のダイアル機構は素晴らしいです。 使い方の一例は 短波局を受信している受信機にこの機器の発信器出力を印加しゼロビートを取って別に付属する周波数表を参照して周波数を推定する と言うやり方です。 従ってダイアル機構は相当程度に精密で5000分の1位の目盛り分解能を読めた筈です。 |
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FT-101Zシリーズ 旧型のカウンター 真ん中に見える四角い部品がカウンターでラス穴があいている上蓋を右側へ展開しました。 原理は簡単で本体のプリミックスユニット(バンドパスフィルター)の出力をカウントして表示しています。 カウンターはディスクリートICのプリセッタブルディケードカウンターをシリーズにして使っておりモードに応じてプリセットする数値を変えています。 プリセット数値は LSB 91.0140, USB 91.0110, CW 91.0117 となっています。 |
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FT-101ZD 後期型のカウンター 真ん中 下に 見える長方形のICが高集積ICのカウンター素子です。 丁度VFOの上側に配置した基板に周辺回路も組み込んだユニットになっています。 原理は旧型と同じで プリミックスユニットの出力周波数(ローカル信号)をカウントしていますがアルゴリズムは不明です。 モードの選択により連動してプリセットする値を決めている様です。 このICは八重洲オリジナルの物らしく故障したら交換不可能です。 代替の部品として個人の方が開発された物が有るらしいですが。 |
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同じく八重洲のFT-901の例ですが これは前期型です。 VFOの周波数をカウントして表示していますがバンドによって周波数の上がり下がりが逆になると言う理由で二つの水晶発振回路出力との差分を取り出してから計数しています。 その発振回路は夫々の周波数を少しばかり変える事が出来ます、 と言うより変えなければ数字表示がずれるからです。 すなわちモードを変える度に校正作業としてマーカーを使って数字を合わせる という事です。 その為にVXO回路を構成して水晶に直列に挿入したバリコンで微調整する訳でバリコン軸をパネル面に出してあります。それが画像のCALです。 尚 後期型では不要になり数字表示の明るさを調節するDIMになっていますが。 後期型ではVFO出力ではなく各バンド毎のVCO出力をカウントしています。 FT-101Zはプリミックス後の信号周波数をカウントしています。 |
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前期型のカウンターの構造だそうです。現物を見たことはありませんが。 6桁の数字表示窓の左側に周波数補正のバリコン軸が出してあります。 画像では左上にある小型バリコンがそれでしょう。水晶片も二個見えます。右下にある水晶片は基準発信器のものでしょう。 又 ディスクリートICを幾つか使って構成しています。 尚 黄色いセラコンの直ぐ下にある少し黒い色のICが沖電気のMSM5501と言うLSIで4桁のディケードカウンターを内臓し4桁分の数字データーをダイナミック方式で出力しているそうです。 昔の技術者はいろいろ知恵を絞ったのでしょう。 |
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FT-901Dの後期型を上から観察する。 ご覧の様にFT-101ZDの後期型と全く同じカウンターユニットが手前の真ん中の位置に設置してあります。 測定原理はFT-101ZDと全く同じです。 と言うのもローカル信号系が同じだからですが FT-101ZDと異なる箇所はBPF出力をカウントするのではなく VCO出力信号を計測し表示しプリセット値も同じ構造です。 |
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TRIO TS-820のカウンター 白いケースのVFO横に見えるラス穴を設けた四角いユニットがカウンターです。 四角いコネクターから出ているリード線を使って計数結果を蛍光数字表示管へデータを送っています。 カウンターで計数する信号は矢張りローカル発信の出力信号ですが 予めモードに従って選択されたキャリヤー周波数をアナログ的に引き算した信号を測定する方法です。 これは単に周波数混合回路を介してやっていて 八重洲の様にカウンターをプリセットする方法とは違います。 従って完全にアナログ回路とディジタル回路を混在して組んだユニットとなっています。 |
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FT-ONEです。 今では当たり前になった多重ループのPLL回路をふんだんに使った純粋なアナログ回路基板を使って周波数制御し ローカル信号を生成しています。 これらの方式では信号を測定する概念はなく 出力したい周波数の数値を元にVCOの周波数を位相制御して望みの局発信号を作り出しています。 この場合 周波数は100サイクル 或いは 10サイクル刻みでアナログ的なスムーズに変化するものではありません。 従って例えばCW信号を受信していてダイアルを回転してもビート音がステップ状に変化しますから一寸違和感があります。アナログ的な感覚は望めません。当たり前ですが。 |